杉山登志 |
『リッチでないのに
リッチな世界など分かりません。
ハッピーでないのに
ハッピーな世界など描けません。
夢がないのに
夢を売ることなどは……
とても……
嘘をついてもばれるものです』
40年ほど前、
こんな遺書を残して自殺して逝った
CM界の巨匠といわれた男を
ご存じだろうか。
杉山登志。
絵描きを志すも、
気づけば、日本のCMに新風を送り
数多くの名作を残した。
消化されていくのが
本来のCMの存在だったはずが、
本編のTVより、
そのCMが観たい!と
当時の誰もがCMにチャンネルを合わせたという。
そんな男に、
私も憧れた。
“リッチでないのに・・・
ハッピーでないのに・・・”
この数年、多分意味合いは違うけど、
ときどき、そんな言葉を呟いている。
ただ長くこなしてきただけの
経験と技術だけで消化している仕事。
「楽しいの、つくってよ!」
「もっと、明るいのがいいね」
なんて言われて(注文されて)も、
気分が重いときは、どうすればいい?
それでも、今日も
“ハッピーでないのに”
ハッピーな仕事をこなした。
憧れの彼、杉山登志は
その遺書の最後にこう結んでいる。
“いずれ嘘はばれるものです”と。
私の年齢は、この遺書を残した彼を
大きく越しているが、
嘘がばれても、まだ仕事をこなしている。
本日も、ご来店、ありがとうございました。
店主に代わりまして、お礼申し上げます。
明日こそ、嘘のないハッピーな気分でいきましょう!
まあ、リッチにはなれそうもないですが(苦笑)。