満席御礼 |
連休中に川越へ出かけた。
久々に、友人MHと大正館で会うためだ。
私たちにとっては、それ以外の目的はなかった。
なので、まさか、連休中が
こんなに観光客で賑わうとは
全く予想もしていなかった。
どこも、ひと、ひと、ひとで溢れかえっていた。
そう、大正館でさえ
「満席中」の札が入口にかけられたまま、
ほぼ半日外すことはなかった。
この状況を一言でいえば、異様だ。
何しろ、ここのところ
私が行くときは
大抵店主が暇そうにしているときだからだ。
もっとも、そういう時を狙って
わざわざ行くのだが。
あらかじめ店主に予告しておいたので、
辛うじてカウンターの奥、
2席分を確保してもらっていた。
そのお陰で
久々の再会と店主の珈琲には堪能したが、
まず普通に来店していたら
表でどれくらい待ったことか・・・。
さすがに、
持つべきものは“友”だ!
(こんなときばかり、と言われそうだが)。
しかし、カウンター(厨房)のなか、
ひとりで次々に注文をこなす店主は
いつもになく
せわしなく動き回り
見ているこちらの目が廻りそうだ。
毎日こうでは店主の身がもたない。
大丈夫か?
と、そんなありきたりたことしか言えない私に
「年に数回の出来事なのだから」
と自分に言い聞かせるように返し、
「行楽シーズンは何も考えず、
日々消化するだけだよ」
と視線を手元に落としたまま呟いた。
そんな店主をよそに、
こちらは久々の再会に
時間も忘れて懐かしいTVドラマの話を
次から次へと・・・。
時々、店主も手を動かしながら
「あ、それ、オレも観てたよ」
と突っ込みを入れてくる。
それで、さらに盛り上がり、
気づいたら、3時間あまりが
あっと言う間に過ぎていた。
で、冷静に店内をみまわすと、
なんとテーブル席は相変わらず満席で
入口扉の外にも
まだまだお客様が並んでいる。
私とMHは、
きりのないこの話を
次回は飲みながら(笑)、と
約束を交わして店を出た。
店を出るとき、ちょっと振り返り
店主に手を挙げた。
すると店主も
カウンターのなかで
変わらずせわしなく作業をしながら
片手を挙げて応えてくれた。
内心、
ああ、やっと
めんどくさい奴らが帰ってくれて
良かった~などと
ホッとしたのかもしれない。
本日も、ご来店、ありがとうございました。
店主に代わりまして、お礼申し上げます。
明日もお店はゆったりとしております。
間違っても「満席中」の札はかけませんので。
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