私の1980年 |
ふいに流れ聴こえた音楽が
一瞬にして遠い昔の想い出へ引き込むことがある。
それも、まったく自分の意図することではなく、
ほんとうに突然に。
先日、仕事の打合せで入った喫茶店で
それがまた起きた。
有線だろうと思うが、
1980~90年代の洋楽が流れていた。
懐かしく、聴き流してはいたが、
ボズ・スキャッグスの
『Look What You Done To Me(燃えつきて)』
に思わず反応し、
瞬時にして、私は1980年へ引き込まれた。
ひとは誰でもそうだろうが
その時々に自分の人生の転換期となった年は
最も記憶に残るものだろう。
私事で恐縮だが、
1980年も、私の人生の転換期のひとつとして
いまでも記憶に残る年である。
当時、洋画を学んでいた私は
卒業後の行き先に悩んでいた。
友人らは卒業を控え、それぞれが社会人として
新たなスタートを切ろうとしていた。
私は、そんな彼らのような生き方は
とうてい出来ないと承知していたし
かといって、
何をしていくかさえも決めかねていた。
それが、私の1980年の年の始まりだった。
その年の出来事として振り返ると
まず1月に、最近もファンを騒がせた
ポール・マッカートニーが来日したが
大麻所持という容疑で逮捕され
その話題で連日マスコミをにぎわせた。
4月になると
友人らは揃って社会人となったが、
私は相変わらずバイトをしていた。
そんな時、
あるトラック運転手のオオヌキさんというひとが
現金1億円の入った風呂敷包みを拾い
一躍時のひととなった。
しばらくは、路上を歩くたびに
キョロキョロとしたものだ。
5月には、黒澤監督の映画『影武者』が
カンヌ映画祭でグランプリを受賞したニュースを聞いた。
映画館で観たが、正直なところ
『七人の侍』には遠く及ばないと思った。
映画の話でいえば、
鈴木清純監督の『ツィゴイネルワイゼン』は面白かった。
洋画ではなんといっても
故ジョン・ベル―シとダン・エイクロイド主演の
『ブルース・ブラザース』が最高だった。
哀しい想い出は、
2月に、アメリカTV番組『逃亡者』でおなじみだった
デビッド・ジャンセン氏が亡くなり、
4月には、好きだった映画監督アルフレッド・ヒッチコック
も亡くなった。
確か、映画とは違うが
落語家の林家三平(9月)、
歌手の越路吹雪(11月)が亡くなっている。
ついでながら、
歌手の山口百恵が10月に引退し、その一ヶ月後
俳優の三浦友和と結婚。
脱線ついででいえば、王貞治が現役を引退した。
そうそう、話を戻せば、
こんな一年が半分過ぎたころ、
私自身も大きな決断をした。
それは、まったくそれまで
思いもつかなかった業界への就職だ。
そのいきさつを話すと長くなるので、それは省く。
いずれにしても、
予期せぬ世界へ、予期せぬかたちで就職し
この年の秋、私は社会人となった。
それから、すでに30年以上、
右往左往はしたものの、
未だに同じ業界で、同じような仕事をしている。
そして、さらにこの年を決定づけ、
かつ重い想い出と共に締めくくったのが
私のなかのヒーローだった二人の死だ。
ひとりは、12月に突然逝ったジョン・レノン。
もうひとりは、闘病の末、11月に逝った
スティーブ・マックイーンだ。
そんななか、よくラジオから流れていた
ジョン・トラボルタ主演の映画
『アーバン・カウボーイ』の挿入歌としてもヒットした
ボズ・スキャッグスのそれだった。
本日も、ご来店、ありがとうございました。
店主に代わりまして、お礼申し上げます。
明日も暑い一日になりそうですが、
水分補給とご休憩に、どうぞ「大正館」へ。
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