冒険ダン吉 |
多分、小学生の低学年だったと思うけれど
『冒険ダン吉』を見た(読んだ?)記憶がある。
でも、冷静に考えれば
有り得ないようなことでもあるので
今でも不思議でならない。
そもそも
『冒険ダン吉』と言って、
どれほどの人が「ああ、あれね!」と頷くだろうか。
1933(昭和8)年より1939(昭和14)年まで
大日本雄弁会講談社(現:講談社)の雑誌
「少年倶楽部」で連載されていたものだ。
漫画家・島田啓三(1900-1973年)の原作による
“絵(漫画)物語”・・・つまり挿絵に物語の付いた
そんなものだ。
ストーリーを簡単に記せば、
ひょんなことから南の島の王となった
少年・ダン吉が、仲間と共に
知恵と機転を利かし
様々な敵に打ち勝っていくという物語だ。
連載当時の日本は、
海外領土の開拓に邁進していた時代であり
そうした時代的な背景とマッチしたのではないか
と言われている。
ところが、戦後になると、
侵略主義を賛美し
人種偏見を助長した漫画だということで、
批判されることもあった、という。
そのせいか、以降、
『冒険ダン吉』は表舞台から消え、
その存在さえ人々の記憶から薄れていった。
例えば、僕ら戦後十年ほど経って生まれた世代の
最初の漫画体験は
恐らく手塚治虫から始まる。
そうしたことを考えても
本来、僕が小さい頃に
これに出会うことは、まず考えにくいのだ。
長い前振りが続いたけれど
実は、この話題を記すのは、
最近、偶然にも
この本を入手することができたことによるのだ。
ただ、発行当時(昭和初期)のものではなく
1967(昭和42)年に講談社から刊行された、
つまり復刻版だ。
それでも、内容はもちろん、
装丁や巻末に収まる書籍の広告も
まったく当時のものになっている。
古い物好きの僕としては
なんとも嬉しい限りだ。
さて、話を前に戻すと
僕はどこで、これと出会ったのだろう?
それだけは、やはりわからない。
調べると、1959年(昭和34)年に
NHKで「人形劇ぼうけんダン吉」というものが
放映されていたというが、
僕は当時2歳なので、当然これは観る由もない。
また、その翌年
日本テレビでも「ぼうけんダン吉」という
人形劇が放映されたといわれるが、
これも観てはいない。
余談だが、これと同時期に人気を博した
漫画家・田河水泡の『のらくろ』は
戦後も多くのファンを魅了してきた。
確か、数十年前に
テレビアニメでも放映されていたりしたので
わりと「のらくろ」を知っている世代は
近年でも多く居るはずだ。
果たして、この違いは何だろうか・・・。
どなたか、僕と同世代の方で
『冒険ダン吉』を見た(読んだ)と言う方がいたら
ご一報頂きたい(笑)。
本日も、ご来店、ありがとうございました。
店主に代わりまして、お礼申し上げます。
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