生誕100年と和田夏十 |
2015年11月、
映画監督市川崑氏が
生誕100年(1915・大正4年11月生)を迎えた。
もっとも、氏自身は、
2008(平成20)年2月に亡くなっているので
あくまでも生誕“100年”になった、
ということだ。
そして、いつものことだけれど、
生誕100年とか言って盛り上げても、
所詮はそれを理由に
どこかの誰(企業や団体)かが
儲けるための口実でやることがそのほとんどじゃないの?
と半ばあきれることの方が多い。
亡くなった者にとっては、
死んでまでも、オレ(ワタシ)のネームで
セコイ商売しやがって、と呟いているかもしれない。
ただ、そのセコイ口実によっては、
個人的に有り難かったり、
嬉しいこともあるので、
完全否定はできないのが情けない(苦笑)。
例えば、今回、その生誕100年ということで
昨年暮れあたりから
CS(通信衛星)放送で
盛んに市川崑監督作品を放送している。
(※今更、ここで、氏の作品についてあれこれ言うのは、
あまりにも野暮なことなので止めておく)
氏の作品数ときたら、その量の多さに感心するが、
意外にその多くの作品を観てきている。
それでも、今回のプログラムのなかには
見逃したものや
初期の貴重な映像も掘り出して放送してくれるので
それには大変有り難いと喜んでいる。
特に、昨年暮れに放送された
1961年公開の「黒い十人の女」は
何度観ても好きな作品のひとつなので、
敢えて記しておこう。
これは、2002年に
市川監督自身によるテレビドラマとして
セルフカバーもされているので、
ひょっとしたらご覧になった方も居るかもしれない。
僕の好きな、
キョンキョン(小泉さん)も出演しているので、
当然僕は観ているが・・・。
さて、それはさておき
市川監督の大半の映画の脚本を担当し、
生涯氏の大切なパートナーでもあった
和田夏十さんのこと改めて思い出した。
和田 夏十(わだ なっと)さん
(本名は市川由美子さん/旧姓・茂木)は、
1920(大正9)年のお生まれなので、
監督とは5歳下になる。
妻であり、脚本家でもあったが
作品づくりの根底で監督を支えていた
いわば陰の支柱だったかもしれない。
監督自身も、作品への称賛は、夏十さんの功績だ、と
常々語っていた。
残念なことに、
彼女は18年間の乳癌との闘病の末、
1983年に早すぎる死を迎えてしまった(享年62歳)。
夏十さんで思い出すのは
中学生の頃だったろうか。
「あっしにはかかわりのないことでござんす」という
セリフが当時流行語にもなった
市川崑演出、中村敦夫主演のテレビドラマ
「木枯し紋次郎」(1972年~1973年)の主題歌
『だれかが風の中で』の作詞を担当していた。
歌は上條恒彦氏、作曲は小室等氏。
テレビドラマのヒットもあったのだろうが、
1972年当時、ポピュラー音楽としてもヒットした。
余談だが、その前年、
上條・小室両氏のコンビによる
『出発の歌 ―失なわれた時を求めて』の大ヒットがあった。
その頃、「夏十」という聞きなれない名前を見て(聞いて)
誰だろうか?どう読むのだろうか?と不思議に思っていた。
しかも、それが女性のペンネームであるなんて
思いもしなかった。
久しぶりに、2000年に発行された
谷川俊太郎編集による
『和田夏十の本』(晶文社)という「本」を
本棚から引っ張り出した。
いつのときも、
こういう才能にあふれ、頼もしくも、
女性として凛とした生き方をしたひとがいることに
感慨深い思いになる。
話は、市川崑監督生誕100年から
逸れてしまったが、
この際だから、それを支えた和田夏十さんにも
スポットを当てて欲しいのだが、いかがだろう?
▼市川監督演出、大原麗子出演のこのCMは大好きなシリーズだ
本日も、ご来店、ありがとうございました。
店主に代わりまして、お礼申し上げます。
▼大正浪漫夢通りサイト
http://www.koedo.com/index.html