6月の大宅荘一文庫 |
6月に入った。
「早いなぁ~」という言葉が何より先に出る。
今年も半分か・・・と。
正確には半分以上あるのだけれどね。
どうもそういうワケではないけれど
梅雨時ということも重なり
なんとなく憂鬱な気分の方が多い。
もちろん、6月になると俄然張り切る!
というひとだっているだろうし、
“ジューン・ブライド”なんていって
6月の花嫁に憧れる女性も多いのは事実だ。
ということは、
やはり個人的な気分にすぎないということで、
どう考えてみても、
6月自体には何の罪もないのだ。
ところで、
5月最後の昨日だったか、
某新聞の紙面でこんな記事を目にした。
“「大宅壮一文庫」赤字続く
ライター支える「雑誌の図書館」”
東京都世田谷区にある
雑誌の図書館「大宅壮一文庫」が、
赤字運営を続けているという内容だった。
「大宅壮一文庫」って聞いても
一般のひとには
あまり馴染みはないかもしれない。
だいたい、大宅壮一氏って誰?
という方も今では多いだろう。
昭和初期から戦後まで
ジャーナリストとして、批評家として活躍した。
「一億総白痴化」なんて言葉は
一度くらい耳にしているんじゃないかな。
僕らのようなテレビ黎明期世代には
厳しい言葉だけれど(笑)。
まあ、氏の経歴等詳細は省くけれど、
そんな大宅氏の個人的な蔵書(特に雑誌)を元に
設立されたのが「大宅壮一文庫」という図書館だ。
で、なぜ、こんな記事に目がとまったかというと
これも個人的なことだけれど
今から30年以上前、
まだ二十代そこそこで
大学生だった、ちょうど6月の梅雨時に
初めてこの「大宅壮一文庫」を訪れているのだ。
ある広告代理店でアルバイトをしていて
確か、そこのディレクターさんだったか
そこへ行って、○○○の記事をコピーして来てよ
と指示されて出かけたのだ。
もともと、何かの本でその存在は知っていたので
こんな風にそこへ行けることが
アルバイトの仕事とはいえ
なんだか嬉しかった。
季節はあきらかに梅雨時で、朝から雨が降っていた。
それでも、駅からさほど遠くもなく
雨道も苦ではなかったような気がする。
それから、社会人になり
一応広告業界というところに入ると、
やはり最初の頃は先輩たちの指示で
時折そこを訪れていた。
その時と同様に、ひたすら必要な記事を探し
それらをコピーしてくるというもの。
それも、気づいたら、いつしか指示をする立場になり
それ以外にも多くの資料館や
専門の図書館ができたことで
徐々に足も遠のいて、いつしかその存在も
忘れていった。
正直を言うと、その新聞記事をみて
「ああ、まだあったんだ」と思った。
記事にもあったけれど、今はネットで事が足りる。
わざわざ、そこへ行くまでもない。
一度活字にされた情報なら、
ほぼネット内に流出されている。
ただ、古い僕などは
あの頃諸先輩方に言われた
「情報は、足で集めろよ」という言葉が
身に染みついて離れない。
ネットではピンポイントで
その情報が得られるけれど、
あの頃、あの「大宅壮一文庫」で見た古い雑誌の
指示された以外の記事にも
実に面白い、興味をひくものがあって
それら別の記事を読むことに
予定より時間を費やしたように思う。
それらはコピーではなくメモを取り
あとで個人的な資料にした。
そんな思い出が、ここにはある。
そう、最後に訪れてから30年近くになる。
さて話を6月に戻そう・・・
梅雨時は
ここ川越も観光客がぐっと減るらしい。
でも、小雨降る小江戸の雰囲気というのも
なかなか風情があって
静かな街並みをゆっくり眺めて歩くには
最適なんだけれどね。
それで、ちょっと冷えたからだを
当店の珈琲で癒すってのが
なんともいえないお勧めのコースなんだけど・・・。
本日も、ご来店、ありがとうございました。
店主に代わりまして、お礼申し上げます。
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