朝ドラと「集団就職」 |
GWに入る直前だったろうか、
TVの街頭インタビューで、この春に入社したばかりの
若者たちにこんな質問をしていた。
「入社して初めてのお給料、何につかいますか?」
そして、
「初めて迎えるGW(連休)には何をしますか?」と。
いまどきの若者らしい回答が返ってきた。
別にそれはどうこうするものではなかったし、
さして興味などなかった。
自分にも、こんな時期があったからだ、遠い昔のことだが。
前置きが長くなったが、
本題はそのニュース映像の後に観た、
NHKの朝ドラ(連続テレビ小説)のことだ。
特に興味や期待を持って観ていたわけではなく
たまたま今回の作品を目にした時に
東京オリンピックが開催された年の少し前から
物語が始まっていたことに何となく惹かれたのだ。
つまり、自分が生まれてきた
昭和30年代~40年代に高校生だった主人公の
成長物語らしいので、
自分の成長の過程と共に物語が進むことに共感したのだ。
遠い、遠い昔のことだが、
あきらかに自分にとってはリアルタイムで過ごした時代だ。
その朝ドラの物語前半は、
地方から東京へ出稼ぎに出ている父親、
そしてその子ども達が学校を卒業し、
やはり東京へ「集団就職」で出ていくという話だ。
映像には当時の「集団就職」のモノクロ写真が
ところどころにインサートされている。
これらの映像に写る若者たちは
自分より少し上の世代だし、
僕らの世代は、すでに「集団就職」という言葉が
あまり身近かではなかった。
それでも、この言葉の意味は知っていたし、
まだ完全に“死語”ではなかったはずだ。
例えば、もう十年以上前だが話題になった映画
『ALWAYS 三丁目の夕日』の舞台が
ちょうどこの朝ドラと同じような時代設定で、
物語は、堀北真希さんが演じた女の子が
地方から「集団就職」で上野駅に着く場面から始まる。
自身に体験はないが、妙にリアルに感じた。
それだけ、まだ自分が子どもの頃、
当たり前のように耳にしていた言葉だからだろう。
そうそう、僕らが高校生の頃だったか、
倉本聰脚本のテレビドラマ
『前略おふくろ様』という番組で
萩原健一さんが演じた板前役も
山形から「集団就職」で上京してきたという設定だった。
この時も、彼の演じる役の設定に違和感がなく
すんなりとドラマに入り込めた。
話はやや逸れたが、
いまはどうなんだろう?
このNHKの朝ドラはどんな年代の層が視聴者かは
わからないが、もし若い世代のひとが観たら、
どんな風に観ているのだろうか。
そもそも、今は地方から働きに来たといっても
物理的には(一部を除けば)
数時間ですぐに実家に帰れる状況にある。
高度成長期の真っ只中だった
昭和30~40年代は、地方からしてみたら、
東京はほんとうに遠い土地だったと思う。
実際、そんな話を先輩諸氏からいくつも聞いて
驚いたことがある。
“意を決して”出て行くという意識も
おそらく今よりはもっと重いものだったろう。
GW中の朝ドラは、主人公らが
「集団就職」で上京し、
初めて仕事をはじめる場面が中心になっている。
こんな場面を観て懐かしいと思うひとも居るだろう。
僕のように体験はしないまでも、
なんとなく何かを思い起こすひとも居るだろう。
まったくその言葉の意味さえ知らない世代は、
こんな主人公たちの心情や滑稽な姿や環境に・・・。
冒頭に記した街頭で答える若者たちと
朝ドラに出てくるような
当時の若者たちの間には4,50年の差はあるが
<たかが>と思うこともある。
豊かになるとは、こんなことなんだろうか。
さて、珈琲一杯にどんな価値を見いだすかは
あなた次第ですが、
どうぞ、今日も素敵な一杯を!
――本日のブログ担当は、昭和世代さんでした。
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