死ぬまでにしたい×××・・・ |
最近、ネコ・パブリッシング出版の
『死ぬまでに観たい映画1001本』を
常にそばに置き
暇さえあれば適当なページを開いて眺めている。
1902年から2013年の映画の中から、
時代や国、ジャンル、監督、俳優など
多岐にわたる観点で1001本を厳選した本だ。
スティーヴン・ジェイ シュナイダー総編集で
9カ国76人の映画評論家による簡潔な寄稿文は
とても面白い。
960ページとかなり分厚く、大型の本だが、
キャストなど主な情報はアルファベットで表記、
日本で観られるDVDリストも記載しているなど
映画愛好家には嬉しい一冊だろう。
もちろん、自分の嗜好に合わないものも
また自分ならここに入れたい映画が漏れていることは当然で
それはそれでまた善しと考えれば
十分に楽しめる。
最近、本屋でこの手の
『死ぬまでにしたい×××・・・』という本を
随分多く見かけるようになった。
ソフトバンククリエイティブ出版
『死ぬまでに聴きたいアルバム1001枚』(960ページ)。
1950年から2007年まで、
ロックやポップス、ジャズ、パンクからソウル、
ヒップ・ホップ、ワールド・ミュージック、
ダンス・ミュージックなど、
さまざまなジャンルの必聴盤1001枚を紹介している。
これなどは、やはり個人的に置いておきたい一冊かもしれない。
また柊風舎出版、
ピーター・ボクスオール編集、別宮貞徳監修による
『世界の小説大百科 死ぬまでに読むべき1001冊の本』(960ページ)も
興味をそそられる。
さらに実業之日本社出版
『死ぬまでに観ておきたい世界の絵画 1001』(960ページ)は、
古代エジプトの壁画から現代の西洋絵画まで、
スティーヴン・ファージング教授が選んだ1001点の絵画集で、
現在15の言語に訳されて、世界各国でベストセラーとなったという。
これも好みがあるので、
好き嫌いは分かれるところかもしれない。
ただ、これらは或る意味、入門書というか
初心者には有り難いガイドブック的な役割として考えれば
それはそれでいいのではないかとも思える。
ほかにも、三才ブックス出版の
『死ぬまでに行きたい! 世界の絶景』(155ページ)などという
観光案内ではないかと思えるような本から
KADOKAWA/角川マガジンズ出版
エイドリアン・ティアニー‐ジョーンズ編集
『死ぬまでに飲みたいビール1001本』(964ページ)なんていう
呑んべえさんには嬉しい本も。
これらはいずれも大型の本で、値段もそれなりに高価だ。
だから、入手するひとはよほどの覚悟がいるかもしれない。
またネット時代のいまでは、
わざわざ高いお金を出して
(生活事情から言えば余分なスペースを取る)
大型本を購入する必要性が
果たしてどれほどあるのだろうか・・・。
それにしても、どれもが
いちいち“死ぬまでに”と冠を付けるのはなぜか?
ひょっとすると、これらの対象者は
若い世代というより
我々のような高齢者を相手にしているようにも思う。
そろそろ仕事から解放され、
時間も小金も少なからずはある。
そこで、ふと、考える
「やり残したことはないか?」と。
そこで、“死ぬまでに”はこれだけのことはやりなよ、
やらなきゃ死ねないよ、と囁いてくる。
まあ、一種の脅しのようなものだ。
そして、それらの本をペラペラと繰ってみると
なるほど、確かにこれも知らない、
これも観てない、ここも行ってない、となれば
焦ってついついその本を購入し、
自分の過去を振り返って、
体験済みの項目を
片っぱしから赤鉛筆で塗りつぶしていくだろう。
そして、自分の大半の人生において
本一冊の十分の一も塗り切れていないという現実に
ただただ呆然とするのだ。
う~ん、そういうことか、と考えると
こうした本の存在に合点がいく。
うまくできているな、と。
本来、そうそう自分の体験していることなんて
たかがしれているのだ。
ましてや、残りの人生を考えてみりゃ、
あれもこれもと欲張ったところで
そう簡単にはできやしない。
そんな風に、偏った見方をしてしまうのも
歳をとった証拠かもしれない。
まあ、ここまで来たら、
恐らく手元にある
『死ぬまでに観たい映画1001本』のうち
観た映画が十分の一にも満たなくても
珈琲をゆっくり飲み干すように
それはそれで、まあいいか、と思いたい。
それにしても、何で
どれもが「1001(本)」なんだろう?
さて、珈琲一杯にどんな価値を見いだすかは
あなた次第ですが、
どうぞ、今日も素敵な一杯を!
――本日のブログ担当は、千本ノックさんでした。
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