エンケン、逝く |
シンガー・ソングライターの遠藤賢司さんが10月25日に死去した。
またひとり、僕が若かった頃に憧れた、
ヒーローだったひとがいなくなった。
ここで、彼のことやその報道などについて
あれこれ言うことはないが、
実は、隠れエンケンファンでもある僕は
(隠れることもないけれど~笑)
去年、病気になったというニュースを聞いてから
例えば忌野清志郎のことなど思い出し
何だか嫌な気持ちになっていた。
だから、やっぱり、来たのか・・・と。
僕が初めて彼の曲を聴き、
初めて生(Live)の彼を見たのは
ほぼ同時期だった。
中学1、2年生の頃だから
13、14歳くらいのこと。
もう、ン十年も前の話だけれど。
初めて聴いたのは、代表曲のような
『カレーライス』。
当時流行った、いわゆるフォークソングのような類は、
若い男女の心情(恋だの愛だの)や
政治的な内容のものが多かったのに、
いきなり
“キミも猫もボクも、みんな好きだよカレーライス”と
素っ気なく歌いだす、そのフレーズに驚いた。
しかも、やたら複雑そうな指の運びをする
ギターの弾き方にも魅了された。
以来、とても気になるシンガーのひとりになった。
それからすぐに、
友人らと日比谷野外音楽堂で開催された
「日本語のロックとフォークの祭典」
という(これはウラ覚えなので、定かな名称ではない)
ライブを観に行ったのだが、
(余談ながら、出演者が今では信じられないくらい凄かった)
そこで、終盤(もう夜に入っていた)に登場したのが
ギター1本を抱えた彼、遠藤賢司だった。
正確には記憶していないが、
そのライブで
浅草(?)あたりで購入したという
4本弦のギターで演奏した
『寝図美よこれが太平洋だ』を聴き、
ウクレレにハマった。
初めて購入した彼のアルバム(レコードLP盤)は
「満足できるかな」。
それをサポートしていたミュージシャンが
これまたネームヴァリューのある方ばかりで
いま聴きなおしても、
やっぱり好きなアルバムだ。
当時は、“和製ニール・ヤング”などと呼ばれていたと思う。
背が高く、髪が長く、歌声も
ギターの弾き方、そして独特な高い声・・・
そんなところが重なったのかもしれない。
僕が個人的に好きだった点も、
その独特な歌声とギターの弾き方だった。
もちろん、曲自体も好きだが、
特に彼が表現する「詞」の世界が好きだった。
男女の、いわゆる恋愛ものを描いても
どこかべたべたせずに、彼ならではの世界観があった。
ちょっと話が逸れるが、
巷にあふれる男女のデュエット曲は無数にあるが
僕が一番好きなのが
エンケンと平山三紀さん
(やはり好きな曲~『真夏の出来事』の彼女)が歌う
『哀愁の東京タワー』。
この、妙にシュールな感じがたまりません。
彼のファッションで真似たのが
ジーパンの裾部分に
ギターのストラップを縫いつけるというもの。
しかもハデ目の柄を選んで縫いつけるのだ。
そして、足元は履き古した革製のブーツ。
でも、お金がないから革製のブーツまでは手が出ずに
スニーカーか、安いビニール製のようなブーツもどきで
すませていたけれど。
最後に彼の生の姿~演奏(Live)を見た(聴いた)のは
近郊の、埼玉県狭山市で開催された
「ハイドパーク・ミュージック・フェスティバル
(HYDEPARK MUSIC FESTIVAL)2006」に
出演した際の遠藤賢司バンド
(b:湯川トーベン・D:石塚俊明)だった。
またしても余談ながら、この時に出演した
フォーク・クルセーダースでの
故・加藤和彦さんも、僕が個人的に見た最後だった。
エレキギターを弾きまくり、ギンギンのロックで
会場全体を一気に引きこんだ彼の姿は
これからも忘れないだろう。
なにはともあれ、合掌。
さて、珈琲一杯にどんな価値を見いだすかは
あなた次第ですが、
どうぞ、今日も素敵な一杯を!
――本日のブログ担当は、ライスカレーさんでした。
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