「大正」を観る |
数日前、
映画『夢二』について触れたが、
それ以降、夜な夜な暇に任せて
同じく鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』、『陽炎座』と
観てしまった。
久しぶりではあったが、やはり独特の映像美に酔った。
鈴木監督の創り方にもあるのだろうが
なんとも耽美な、いかにも(イメージとしての)
大正浪漫が漂っている映画(映像)は、
妙にハマるところがある。
もちろん、大正時代がどんな色をしていて
どんな匂いや音や、風が吹いていたのかは知らない。
だから、あくまでもこんな“感じ”だろうという
勝手な想像だけで
好き、嫌いを言っているのだが。
そんなことをつらつらと考えていたら
「大正」時代を背景にした映画を
数本思い出した。
五社英雄監督の『鬼龍院花子の生涯』(1982年)。
宮尾登美子原作の、高知を舞台に侠客の世界を描いたものだが、
これはただ
「夏目雅子」が出演しているから観たもので
時代背景を意識したわけではない。
余談だが、私や店主の世代にとっては
「夏目雅子」は別格の女優といえる。
ひと世代上の方々が
吉永小百合をそう思い、サユリストなる言葉が生まれたように。
ちなみに、もっと上にいくと
原節子ということになるのだろうか。
いずれにしても、
時代を代表する女優は、まさに永遠のアイドルだ。
では、平成のいまは・・・あまり興味がないので
触れずにおこう。
吉永小百合で思い出したのが
深作欣二監督の『華の乱』(1988年)。
永畑道子の小説『華の乱』『夢のかけ橋』を原作に
主人公の与謝野晶子(吉永)の視点から
大正という時代を描いている。
鈴木監督作品にも登場していたが、松田優作も良かった。
そうそう、
神代辰巳監督の『もどり川』(1983年)もあった。
連城三紀彦原作の小説「戻り川心中」が元になっている作品だが
大正時代の歌人・苑田岳葉(萩原健一)を中心に、
その顛末が描かれている。
苑田岳葉なる歌人は、どうやら実在の人物ではないようだが、
その時代でなければ生きられないだろう
破天荒な姿は、妙にリアリティがあった。
それを思うと、平成のいまは、こんな歌人は生きていけない。
連日ワイドショーで取り上げられ、
あっという間に干されてサヨウナラだ。
結構、出てくるものだ。
行定勲監督の『春の雪』(2005年)も
三島由紀夫原作で、時代背景は大正初期だった。
ちょっと、これはどうかわからないが、
佐藤雅道監督、南野陽子と阿部寛が出演した
大和和紀の漫画が原作の
『はいからさんが通る』(1987年)。
この作品の時代背景も、確か、大正ではなかったか。
ま、これは、さすがに観ていないので、コメントはできない。
ざっと挙げても、数本並ぶのだから
映画通の方なら、キリなく出てくるのではないだろうか。
小説で味わうそれもよいが、
視覚で味わう「大正」もなかなかである。
そこで、思いついたのだが、
どうだろう、こんな「大正」時代を描いた映画を集め
ここ大正浪漫夢通り主催で
『大正浪漫映画祭』なんていう
イベントを行うというのは・・・。
上映するなら、店のすぐ脇の道に
かの「鶴川座」もあるではないか。
それが叶わぬなら、
蓮馨寺さんの境内をお借りし、
満点の星空のもと
野外劇場というのも悪くはない。
と、またこんな愚にもつかない話をしていると
店主に煙たがれそうだから、もう止めにしておこう。
本日も、ご来店、ありがとうございました。
店主に代わりまして、お礼申し上げます。
明日は大雪とのこと、お出かけは足元に気をつけて。
▼シマノコーヒー大正館HP
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