雨の日は、「珈琲」本で |
秋日和に川越散策を!と提案していたら、
この数日、ぐずついた天候が続いている。
まあ、そんな日もあるさ、
ということで、
気に入った「珈琲」本を抱えて大正館へ。
本日は、
小説家・黒井千次氏著
『珈琲記』(紀伊國屋書店/1997年)。
これは、最初から最終ページまで
正真正銘「珈琲」の話だけがぎっしり詰まっている。
発行されたのは、もう二十年くらい前になるけど、
書店で手に取ったとき、本文最初の
「朝は珈琲から始まる―。」
という一文にやられてしまい
即レジへ運んだ。
どこを切っても“金太郎”という
「金太郎飴」じゃないが、
どこを読んでも本当に「珈琲」ずくしだ。
これだけ一冊のなかに
「珈琲」ばかりが並べられたら、
もう、飲まずにはいられない!(苦笑)。
嘘だと思うなら、ぜひ、お試しあれ。
また、「珈琲」とはいえ、
ちょっとテーマが違うところにある、
こんな本はどうだろう。
タリーズコーヒー社長・松田公太氏著
『すべては一杯のコーヒーから』
(新潮社文庫/2005年)。
これも、かなり前の書籍で、
確か移動中の新幹線のなかで
ペラペラと繰ったものだが、
なるほど起業家というものは
こういう発想や体験から企業を興すのか、
と感心した。
そういえば、「スターバックス」関連の書籍も
いくつか本屋で立ち読みした覚えがあるが・・・
この手の本の印象としては、
先に挙げた「珈琲」本というより、
起業家のサクセスストリー的なものが多く、
当店のマスターならともかく
経営や起業などというものに
まったく興味のない僕には
なるほどなぁ~と感心することはあっても、
奮い立つような感動というものとは
ちょっと縁遠いし、
(珈琲を)飲まずにはいられない!とはならない。
むしろ、飲みたくなるのはアルコールの方かも・・・。
と、本棚から目に止まったので
ついでに引っ張り出したのが、
英文学者・小田島雄志氏著
『珈琲店のシェイクスピア』(晶文社/1978年)。
これなども随分古いものだが、
実は、タイトルにあるような
“珈琲店”とはまったく関係ない(笑)。
本書の見返し部分に
「(前略)著者がコーヒー・カップ片手に軽快に語る。」
とあるのみで、
中身は、すべて“シェイクスピア”に関する
演劇批評から対談、エッセイや随筆などを
一冊に収めたものである。
既にご存知だと思うが、
小田島雄志氏といえば、
“シェイクスピア”の翻訳家としては第一人者だ。
そんな著者が「珈琲」を飲みながら、
という“気分”を醸し出しているあたりが、
いわば本書の内容を語っているともいえる。
そう、「珈琲」という“気分”は
本書を読めば、十分に納得できる。
そういうものなのだ、「珈琲」というやつは。
では、このあたりで失礼して
僕も「珈琲」を片手に読書と決め込もう。
本日も、ご来店、ありがとうございました。
店主に代わりまして、お礼申し上げます。
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