ドナルド・キーンさん |
唐突ながら、テレビ番組の話。
先週末、NHKで放送された
「ETV特集・ドナルド・キーンの日本(前篇)」
を観た。
ご覧になられた方もいるかと思うが
簡単に内容を記せば、
アメリカ生まれの日本文学研究者
ドナルド・キーン氏(93歳)の人生を
ドキュメンタリーとドラマを交えて描き、
彼の目に映った日本や日本人の姿を見つめる。
というもの。
先週と今週(前・後編2回)に分けて
放送するというので
今週の後半が楽しみなところだ。
ドナルド・キーン氏は
ご存知の通り、上記にも触れているが
アメリカ生まれ、アメリカ育ち、
生粋のアメリカ人だ。
しかし、
2011年3月11日の東日本大震災を契機に
日本国籍取得。
出生名の「DonaldLawrence Keene」から、
カタカナ表記の「キーン ドナルド」へと改めた。
漢字での表記は通称「鬼怒鳴門」。
今や日本人より日本人らしいといわれるほどだ。
太平洋戦争当時、
たまたま入手した『源氏物語』に感銘を受け、
以来「日本」の魅力にとらわれたという。
戦後、日本に留学し、
本格的に「日本文学」を研究することに。
作家の三島由紀夫、安部公房らとは
生涯親友として親交があった。
もちろん、日本を代表する作家の
谷崎潤一郎、川端康成、司馬遼太郎らとも交流があった。
彼が翻訳した作品は、
主に源氏物語、吉田兼好、
松尾芭蕉、近松門左衛門といった古典から、
太宰治、川端康成、三島由紀夫、安部公房らの
小説がある。
余談だが、作家の故・井上ひさし氏も
「日本語」を愛し、
終生「日本語」にこだわっていた。
英語教育を推進する政府に対し、
それよりも、もっと
「日本語」教育に力を入れるのが先では・・・
というような意見を何かで読んだ記憶がある。
そう、「日本語」で書かれた
“日本文学”をもう一度、
見直してみたいという思いに駆られる。
ということで、さて、テレビ番組だが、
ドナルド・キーンさんの人生を振り返ることは
ある意味、日本文学にも触れることにも繋がり
観ていても興味深い内容だ。
そのなかで、
彼の人生を通じて
もっとも伝えたかったのは、
(勝手な私見だが)
「日本」という独特の風土や時代、
社会、人々から生まれた
美しい、そして奥深い「日本語」による
“日本文学”のことではないか、と。
この番組を観ているうちに
急に“日本文学”を読み直してみたくなった。
学生のころに、
勉強のために読んだ(読まされた?)古典や
読書感想文の宿題のために選んだ
日本文学の大御所らの作品は
その後、一度も純粋に読書としては
手にとることがなかった。
なので、それらいわゆる“日本文学”を
改めて読み直すということだ。
頭の悪い僕としては
妙な例えしか浮かばないが、テレビの
「料理番組(いわゆる食レポ番組)」などを観ていると
その画面に紹介された料理が
無性に食べたくなることがあるだろう、
そんな感覚に似ている。
ご興味がおありなら、
先週の再放送が
今夜11月20日、正確には深夜0:00からあり、
後編が明日11月21日の夜11時から放送される。
まあ、NHKの宣伝をしたところで
受信料は取られても
決してお礼などはいわれないが・・・。
珈琲を味わいながら
週末深夜、一時間余りの間、
こんなテレビを視聴するのも悪くないのでは。
本日も、ご来店、ありがとうございました。
店主に代わりまして、お礼申し上げます。
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