一杯のコーヒーから |
急に冷え込み、
悪天候が続いた。
この週末になって、晴れ間が見え、
気温もやや上がってきたので
やれやれと、ほっとしている。
久しぶりに早朝、昇りくる日を見ながら
珈琲を淹れて寛いでいたら、
偶然にもタイミングよく、ラジオから
こんな懐メロが流れきたので、
聞きいってしまった。
霧島昇とミス・コロムビアが歌う
『一杯のコーヒーから』。
聴いたことのある歌だけれど
まともに聴くのは初めてかもしれない。
作詞は藤浦洸氏、作曲は服部良一氏。
1939(昭和14)年3月20日に
コロムビアレコードから発売された。
ちょっと気になり
Wikipediaで調べてみたら・・・
当初この曲のタイトルは『一杯のビールから』
というタイトルだった、とある。
ところが、作詞を担当した藤浦洸氏が
お酒を飲めなかったため
“ビール”から“コーヒー”に直してしまった
という裏話が残っているらしい。
曲は、さすがに服部良一氏の
モダンなセンスが光り
この時代には珍しくジャズ調に仕上がっている。
またラジオ番組
「こんにちは青空田の志(たのし)です」の
テーマ曲でもあった、とある。
余談ながら、この番組は、
漫談家の青空田の志がゲストを招いて
音楽とトークを行う
5分ほどの放送だったそうだ。
もっとも、東北、新潟、長野を系列とした
いわゆる地方局のみの番組だったようで
いまどれほどの人の記憶に
残っているものなのか。
ちなみに、この当時のコーヒーの価格は
一杯15銭であったと記されている。
物の値段を見る(聞く)と
不思議とその時間の長さを実感する。
およそ80年前の出来事だ。
♪~一杯の コーヒーから
夢の花咲く こともある
街のテラスの 夕暮れに
二人の胸の ともしびが
ちらりほらりと つきました
出だし二行のこの歌詞は
なんとなく口ずさめる方が
いるような気がする。
以下もこの調子で、
短い言葉ながら、
二人の情景描写が続くのだけれど
この歌詞だけ読んでも
当時の雰囲気が伝わってくるのが憎い。
話しは逸れるが、
このタイトルとまったく同じタイトルの
小説を思い出した。
エーリヒ・ケストナー
(Erich Kästner/1899年~1974年)著作
『一杯のコーヒーから』(創元推理文庫)だ。
ただ、これは翻訳(日本)版のタイトルで
原題がどうだったかはわからないが
おそらく、似ても似つかぬものだろう。
エーリヒ・ケストナーは、
ドイツの小説家で、詩人としても有名だった。
最もこの作家を有名にしたのは
「エミールと探偵たち」、「点子ちゃんとアントン」や
「飛ぶ教室」、「ふたりのロッテ」などといった
児童文学ではなかろうか。
それらの作品をもとにした映画や
ミュージカル化も多いので、
それを聞けば、ああ、と頷く方もいるだろう。
<一杯の コーヒーから
夢の花咲く こともある>
これはそのまま
当「大正館」の
惹句(キャッチフレーズ)とさせて頂きます
・・・ずうずうしい、か(苦笑)。
本日も、ご来店、ありがとうございました。
店主に代わりまして、お礼申し上げます。
▼大正浪漫夢通りサイト
http://www.koedo.com/index.html