本が崩れる! |
こんな夢を見た。
(いきなり余談だけど、この書き出しは
夏目漱石の『夢十夜』の書き出しです。
そういえば、黒澤明監督の映画『夢』も
こんな始まりだったなぁ・・・
ということでパクってみました~失礼)
四方を本に囲まれて
その真中でぽつんと一人で立ちつくしている。
本らはまるで城壁のようにうず高く、
かつ堅牢そうに積まれているので
感心しつつも、少し驚きもあり、
ただただ見渡しては成すすべもないという状況だ。
それでもよく見まわして一冊一冊それらの背表紙を眺めると
知ってる本も、知らない本も
持ってる本も、欲しいと思った本も
とにかく沢山あるのだけれど
そのどれもが抜き出そうものなら
すぐさま崩れ落ちてきそうで
ちょっと怖くて、抜くことに躊躇している。
すると、地響きのような音が
遠くから聞こえてきて、
「?」と思った瞬間
いきなり目の前の本が雪崩のように崩れ落ち・・・
というところで目が覚めた。
毎年のことだけれど、春先に溜まってしまった本を
仕方なく処分している。
これはあくまでも家庭の事情で
個人的な理由ではない。
要は、もともと狭い家の、
さらに限られたスペースでしか本を収納できないからだ。
そんな時にいつも思うのだけど、
こんなことならもう本など買うのは止めよう、
もっと図書館を利用すればいいじゃないか、と。
でも、ふと夜中に
「あ、あの本に書いてあったな」とか
「もう一度読みたい(見たい)な」なんてことが
しばしばあるので、それを考える何とも辛いのだ。
ま、そんな事情はさて置き、
「夢」の話に戻すと、
こんな本が影響したのかもしれない。
処分を考えるこの時期、いつも引っぱり出す本が、
草森紳一著
『随筆 本が崩れる』(文春新書 2005年)。
まさに夢の如く、
氏の所有する何万冊もの蔵書が崩れ、
一人住まいの浴室に閉じ込められ・・・という
笑うに笑えない話が書かれている。
ご存知の方も多いと思うが、
草森氏の蔵書も半端ではない。
もともと編集者だが、氏の書かれた著書も
興味深いものが多い。
そんな仕事柄か、部屋は本で充満し、そんなことになる。
それと、数年前になるが、こんな本もある。
岡崎武志著
『蔵書の苦しみ』(光文社新書2013年)。
本の紹介文を読めば中身はおわかり頂けるだろう。
「著者は2万冊を超える蔵書の持ち主で
まとめて古本屋に引き取ってもらうが、
売ったはしから買ってしまうので、
一向に減ることはない」
そう、まさにこれは自分のことだ(苦笑)。
こんな風に夢で済ませられるうちはいいが、
いつ“正夢”になりかねない。
ただ、蔵書と呼べるほど
大した本を持っているわけではないので
全て処分しても構わないのだけど。
さ、これから夜な夜な
珈琲を飲みながら
ゆっくり一冊一冊に別れを告げて
段ボール箱に本を詰めるとしよう。
さて、珈琲一杯にどんな価値を見いだすかは
あなた次第ですが、
どうぞ、今日も素敵な一杯を!
――本日のブログ担当は、積ン読さんでした。
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