時代小説と『佐武と市捕物控』 |
好きな作家のひとりに関川夏央さんがいる。
作家というひと括りでは語れないが、
ここでも再三紹介してきたので
関川氏については、さておく。
で、これはかなり前に出版された著書だが、
『おじさんはなぜ時代小説が好きか』 (集英社文庫)
を最近読んだ。
いままで未読だったのは、第一に“時代小説”というものに
~僕自身、十分おじさんだけど(笑)~
あまり興味がなかったせいだ。
いわゆる時代小説を読んだのは、
中学時代に(剣道をしていたせいか)、
吉川英治著『宮本武蔵』に始まり、
高校時代に、その世代の定番のような
司馬遼太郎著『龍馬がゆく』と
子母澤 寛著『勝海舟』。
そして社会人になってから
池波正太郎著『仕掛人・藤枝梅安』シリーズ全。
自慢ではないが、
わずかにこれだけで終わった。
おじさんに人気(?)の藤沢周平作品など
申し訳ないが一冊も読んだことがない。
やはり好きな作家である山田風太郎作品も
実は時代小説の類は一冊も読んだことがない。
だから、『おじさんはなぜ~』について語るつもりも
資格もない。
ただ、これを読んで無性に再読したくなったのが
いきなり話が飛ぶが、漫画家・石森章太郎作の
『佐武と市捕物控』だ。
もちろん、これは小説ではなく
(ノベライズ版もあるようだが)漫画本だ。
しかし、僕が真っ先に思い浮かべる
“時代小説”としてイメージするのが
この『佐武と市捕物控』なのだ。
時代背景は「江戸」、そしてその中心となる舞台は
浅草・竜泉寺裏。
下っ引の佐武と、その相棒で
盲目の居合い斬りの達人である市が
さまざまな事件を解決するという
時代劇お決まりのストーリーなのだが
これが“時代小説”同様に
人情噺が絡んでなかなか奥深い物語になっている。
資料によると1966(昭和41)年に
「少年サンデー増刊号」で発表された読み切り作品で、
当初は少年漫画としてスタートしたらしいが
僕が初めてこの漫画に出会った頃は
既に劇画タッチの、
まさに“時代小説”さながらの物語だった。
TVでもアニメーションとして放映され、
TVドラマの実写版としても
何度か製作されたようだが、
いずれも観てはいないので
なんとも言いようがないのだが・・・。
久しぶりに再読しても、
やはりハラハラドキドキ、
そして少しほろ苦い気分を味わった。
僕にとっては間違いなく
おじさんが(若者でも)読むに耐えうる
“時代小説”と言える。
雪の舞う寒い夜など、
温かい珈琲を片手に
佐武と市と一緒に
江戸の町並みを闊歩してみるのもいい。
さて、珈琲一杯にどんな価値を見いだすかは
あなた次第ですが、
どうぞ、今日も素敵な一杯を!
――本日のブログ担当は、時代小説は好きですか?さんでした。
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